「ロエベの香水がくさい」あなたがこの少しショッキングな言葉で検索してたどり着いたお気持ち、香りの専門家として、とてもよくわかります。
スペインの高級メゾンであるロエベ(LOEWE)のエレガントなイメージと、「香りが強すぎる」「期待と違った」という一部の口コミとの間に、戸惑いを感じていらっしゃることでしょう。
この記事は、その戸惑いを「確信」に変えるためのものです。なぜロエベの香水が時に「くさい」とまで言われてしまうのか、その真相を解き明かします。そして、その理由が、実はロエベの「型破り」な芸術性と、調香師の深い哲学にあることをお伝えします。
この記事を読み終える頃には、あなたはロエベの香りの奥深さを知り、「万人受け」の傑作からあなただけの「運命の一本」まで、自信を持って選べるようになっているはずです。
- 「ロエベの香水がくさい」と言われる口コミの真相
- 調香師の「型破り」な芸術的哲学
- 初心者でも安心な「万人受け」の傑作
- 個性を「飼いならす」上級者向けテクニック
「ロエベの香水がくさい」の真相:芸術性ゆえの3つの理由
- 理由1:口コミは真実?「強すぎ」「粉っぽい」の声
- 理由2:調香師の「型破り」な香料
- 理由3:ボタニカルレインボーの「ありのままの自然」
理由1:口コミは真実?「強すぎ」「粉っぽい」の声

まず、あなたが目にしたかもしれないネガティブな口コミ。それらは「嘘」なのでしょうか?
いいえ、それらは「真実」です。ただし、それは香りの「品質」の問題ではなく、「個性」の問題。フレグランスマイスターとして、まずはその事実を直視することから始めましょう。
例えば、ロエベの代表作「001」シリーズ。特に「001 マン EDP」は、「香りが強すぎる」「粉っぽさが強い」といった声が一部で見られます。この「粉っぽさ(パウダリー)」は、香水の世界ではクラシカルでエレガントな要素ですが、慣れていない方にとっては「おしろい臭い」や「古い」といった、ネガティブな「くさい」という印象に直結してしまうことがあります。
さらに「ソロ」というラインでは、「大失敗しました」「ただ臭い香水でした」という、かなり手厳しいレビューも存在します。柑橘やウッディという説明書きとは裏腹に、期待した香りでなかった時の失望感が伝わってきます。また、「アグア エジャ」という爽やかなはずの香りに対しても、「埃っぽい匂いがする」という、正反対の感想を持つ方がいるのも事実です。
香道Lab.重要なのは、これらのレビューが「香りがすぐ飛ぶ」といった品質への不満ではない点です。むしろ、「香りが強すぎる」「個性が際立ちすぎる」という、香りの”キャラクター”そのものに向けられています。これは、ロエベが意図的に「誰もが振り向く、忘れられない香り」を創造していることの裏返しなのです。
理由2:調香師の「型破り」な香料


では、なぜロエベはあえて、これほどまでに個性的で「挑戦的」な香りを作るのでしょうか。その答えは、ロエベの元クリエイティブ・ディレクター、ジョナサン・アンダーソン(2013年~2025年3月)と、専属調香師ヌリア・クルエリェス(Nuria Cruelles)氏の「型破り」な哲学にあります。
ヌリア・クルエリェス氏は、「ルールを破る才能」を持ち、「最も型破りな材料で実験する」ことで知られる天才調香師です。彼女の哲学は、「クラシックな香水の原料に、モダンなひねりを加える」こと。
その「ひねり」こそが、ロエベの香りを唯一無二のものにしています。彼女たちは、誰もが「良い香り」と手放しで褒めるような安全な香料だけでなく、あえて「違和感」や「驚き」をもたらす香料を選びます。
ロエベが採用する「挑戦的」な香料の例
- トリュフ(Truffle):「アース エリクシール」などに含まれる、あの高級食材のトリュフです。土やキノコを連想させる、非常にアーシー(土っぽい)で独特なムスク香。
- レザー(Leather):「エセンシア エリクシール」などに使われる、ロエベの原点とも言える香料。単なる「革製品」の香りではなく、スモーキーで動物的な側面も持ちます。
- ハーブ(Herbs):ラベンダーのような分かりやすいハーブだけでなく、「エセンシア」ラインではベチバーやパチュリといった、湿った土やインクのような深みを持つハーブが大胆に使われます。
- インセンス(Incense):「7 コバルト」で使われる「お香」です。スパイシーでスモーキー、人によっては「お寺のよう」と感じる、非常に個性が際立つ香りです。
いかがでしょうか。これらは一般的な「良い香り」のイメージからは、少し離れているかもしれません。しかし、ジョナサン・アンダーソンがロエベを単なる革製品の老舗から「世界で最も注目されるアート&クラフトのメゾン」へと変貌させたように、香水もまた「身に纏うアート(芸術作品)」として捉えられています。
あなたが「くさい」と感じたその香りは、もしかしたら「トリュフ」や「レザー」が放つ、計算され尽くした芸術的な「違和感」なのかもしれません。
理由3:ボタニカルレインボーの「ありのままの自然」


ロエベの香水哲学を理解する上で、もう一つ欠かせないのが「ボタニカルレインボー」というコレクションのコンセプトです。
これは、ロエベの香水が「虹(レインボー)」のように多様な色と香りで構成されていることを示すもので、そのインスピレーションの源は、一貫して「自然」です。調香師のヌリア・クルエリェス氏も、「自然は常に私たちのインスピレーションの主な源」と公言しています。
しかし、ここで言う「自然」とは、美しく咲き誇る花々だけを指すのではありません。ロエベが描く自然は、もっと「ありのまま」の姿です。
ヌリア氏自身が「ノスタルジックな香り」として挙げるのが、なんと「トマトの葉(Tomato Leaves)」の香り。彼女の祖母との台所での思い出に繋がるというその香りは、私たちが想像する甘い果実の香りではなく、青々しく、少し苦味のある、あの独特のグリーンな香りです。
さらに、彼女たちはスペインの原料を重要視しており、その一つに「スペイン南部のロックローズ」を挙げています。この香料は「非常に素朴で、バルサミック(樹脂のよう)な匂い」がすると言います。



「地中海の夕陽」や「水の煌めき」といった詩的なインスピレーションから生まれる香りは、光の部分だけでなく、影の部分も、土の匂いまでも、すべてを内包しています。私たちが時に「埃っぽい」や「土臭い」と感じてしまうのは、ロエベがその「ありのままの自然」を、あまりにも正直に、忠実にボトルに詰め込んでいるからに他なりません。
「ロエベの香水がくさい」を回避する、運命の一本との出会い方
- 初心者向け:「万人受け」の傑作、001 ウーマン
- 香りの羅針盤:ロエベ香水マトリックス
- 上級編:「共生」のアート、重ね付けの魅力
- 香りを飼いならす、賢い纏い方
初心者向け:「万人受け」の傑作、001 ウーマン


ここまでの話で、「ロエベの香水は、私には難しすぎるかも…」と不安になってしまった方もいらっしゃるかもしれません。ですが、どうかご安心ください。
ロエベは、挑戦的なアート作品ばかりを作っているわけではありません。その芸術的な感性を、見事なまでに「心地よさ」に昇華させた傑作も存在します。その代表格が、「001 ウーマン(Woman)」です。
この香水は、ロエベの数あるラインナップの中で、最も「万人受けする香り」として知られています。「モテ香水」と評されることも多く、その香りは「男性を魅了する」とまで言われるほど。その秘密は、完璧な香りのバランスにあります。
トップはベルガモットやマンダリンといったフレッシュで活気ある柑橘系から始まります。ミドルノートでは落ち着いたエジプシャンジャスミンとリネン(リネンコード)が香り、知的でクリーンな印象を与えます。ベースノートではサンダルウッド、バニラ、アンバー、ムスクが温かみのある奥行きをもたらします。
「バニラは甘すぎて苦手」という方こそ、試していただきたい香りです。ロエベの「001 ウーマン」が素晴らしいのは、このバニラが「甘さの中にも品格を感じさせる」絶妙なバランスで調香されている点です。決して子供っぽくならず、柔らかく、気品に溢れた落ち着いた香りとして、多くのファッションアイコンやセレブリティにも愛用されています。
もし、あなたが「ロエベの香水に挑戦したいけれど、失敗したくない」と願うなら、まずこの「001 ウーマン」から始めてください。これこそが、ロエベが誇る「安全な傑作」であり、あなたをロエベの美しい世界へと導く、最も信頼できる入り口となるはずです。
香りの羅針盤:ロエベ香水マトリックス


「001 ウーマン」が素晴らしいのは分かりました。では、その先は? 芸術的な「ボタニカルレインボー」の中で、自分が迷子にならないか不安です。
そんなあなたのために、私が「香りの羅針盤」として、ロエベの広大な世界をマッピングした「ロエベ香水:香りの個性マトリックス」をご用意しました。あなたが「くさい」と感じるリスクを避け、あなたの個性に寄り添う香りを見つけるための地図としてお使いください。
このマトリックスは、ロエベの香水を「万人受け度」と「香りの個性」の2軸で分類したものです。「万人受け度」が高いほど、香水初心者の方や、オフィスなどTPOを問わずに使いたい方におすすめです。「個性的・芸術的」に進むほど、香水に詳しい方、他者と被らない自分だけの香りを求める上級者向けとなります。



| 香りのタイプ | 代表的な香水 | 香りの特徴(キーノート) | こんな方におすすめ |
|---|---|---|---|
| タイプA:万人受け・エレガント (初心者・ギフト向け) |
001 ウーマン EDP | ベルガモット、サンダルウッド、バニラ (柔らかく品のある甘さ) |
初めてロエベを買う方、失敗したくない方、デートやオフィスシーンに |
| タイプB:爽やか・クリーン (デイリーユース向け) |
アグア エジャ EDT | レモン、ローズ、ウォーターリリー (清潔感のあるシトラスフローラル) |
日常的に使える軽い香りが欲しい方、性別を問わず好かれたい方 |
| タイプC:個性的・スパイシー (中級者・差別化向け) |
7 コバルト EDP | インセンス(お香)、クローブ、ピンクペッパー (スパイシーで神秘的なウッディ) |
ありきたりな香りに飽きた方、ミステリアスな雰囲気を纏いたい方 |
| タイプD:芸術的・挑戦的 (上級者・自己表現向け) |
エセンシア エリクシール EDP アース エリクシール EDP |
レザー、ハーブ、ウード(エセンシア) トリュフ、洋梨、ウード(アース) |
香りをアートとして楽しみたい方、ロエベの哲学に深く共感する方 |
このマトリックスを参考に、まずは「タイプA」や「タイプB」から試香し、徐々に「タイプC」や「タイプD」の奥深い世界に足を踏み入れてみるのはいかがでしょうか。それこそが、ロエベというブランドを最も深く楽しむための、賢明な旅の進め方です。
上級編:「共生」のアート、重ね付けの魅力


さて、ここからはロエベの香りを「飼いならす」どころか、「自ら創造する」という、最も上級者向けのテクニックをご紹介します。それは、ロエベが公式に推奨している「重ね付け(レイヤリング)」、彼らの言葉で言うところの「共生(Symbiosis)」のアートです。
ロエベは、異なる2つの香りが「ペアリングのアート」によって、互いを補い、高め合い、新たなハーモニーを奏でるという「重ね付け」(Symbiosis)のコンセプトを推奨しています。公式には複数の補完的な香りの組み合わせが提案されており、単体で完成しているだけでなく、他の香りと組み合わさることで新しい香りの体験を生み出すように設計されているものがあります。
その象徴的な例の一つが、「001 マン」と「001 ウーマン」です。これらは、カップルがそれぞれ纏い、2つが重なることで「3つ目の調和された香り」を生み出すように設計されています。



そう、冒頭で「強すぎる」「粉っぽい」と評された「001 マン」。もし、その香りが単体では「未完成」で、何かと重なり合うことで「完成」するパズルのピースだとしたら…?
あなたが「くさい」と感じた、あの挑戦的な「トリュフ」や「レザー」の香りも、もしかしたら「001 ウーマン」のようなエレガントな香りや、「アグア」のような爽やかな香りと重ねることで、信じられないような深みと個性を与える「隠し味」に変わるのかもしれません。
例えば、「ソロ エジャ」のフレッシュなリンゴと「アイレ スティレサ」のたおやかなスズランを、朝と夕方で「スイッチ」して楽しむ。あるいは、手首に「ソロ」、膝の裏に「アイレ」を纏い、自分が動くたびに2つの香りが「共生」し、調和していくのを楽しむ…。
これこそ、ロエベが提案する最も贅沢な香りの楽しみ方。あなたが「個性的すぎる」と感じたあの香りが、実はあなただけのシグネチャーセントを創り出すための、最高の「絵の具」だったのです。
香りを飼いならす、賢い纏い方


最後に、ロエベの香水の「個性」を理解した上で、それを「飼いならし」、あなたの魅力として最大限に活かすための、実用的な「纏い方」の技術をお伝えします。
「強すぎる」「粉っぽい」という悩み(特に「001 マン」などで聞かれます)の多くは、香水の濃度(EDP:オードゥパルファンは賦香率が高い)や、スプレーする場所と量によって解決することができます。
ロエベのような個性的で持続性の高い香りを上手に纏うための、プロのテクニックは「下半身に、控えめに」です。
香りは、下から上へと立ち昇る性質があります。手首や首筋といった、鼻に近い場所(上半身)につけると、香りをダイレクトに「強すぎる」と感じてしまいがちです。特に、パウダリーノートやウッディノートは、体温で温められすぎると、香りが「こもる」ように感じ、それが「くさい」という印象に繋がることがあります。
香りを「飼いならす」ための3つのルール
- ルール1:出かける1時間前につける
つけたてのトップノートが最も強く香ります。外出の1時間ほど前につけておけば、香りが肌に馴染み、最も美しいミドルノート〜ラストノートの状態で人前に出ることができます。 - ルール2:下半身を中心に「1プッシュ」から
ロエベのEDP(オードゥパルファン)は、1プッシュで十分な強さがあります。まずは「足首」や「膝の裏」、または「ウエスト」のいずれか1箇所に、1プッシュだけ試してみてください。自分でふんわり香る程度が、周囲にとっては「上品に香る」ベストな量です。 - ルール3:もし強すぎたら「拭き取る」
それでも「強すぎた」と感じた場合は、香水をつけた場所を「こすらずに」、香水を含ませたコットンや、アルコール入りのボディシートで優しく押さえるように拭き取ってください。こすると香りの分子が壊れてしまいますが、拭き取ることで余分な油分だけを除去できます。
香水は「つける」のではなく「纏う」もの。特にロエベのような芸術性の高い香りは、洋服のようにTPOと着こなし(=纏い方)が重要です。この3つのルールを守るだけで、「くさい」と思われていた香りが、周囲から「なんとも言えない、いい香り」と褒められる、あなたの「知性」と「個性」の象徴に変わるはずです。
総括:「ロエベの香水がくさい」は、最高の褒め言葉である理由
この記事のまとめです。
- 「ロエベ 香水 くさい」という検索は、芸術的探求の始まりである
- 一部の香りは「強すぎ」「粉っぽい」と評されることが事実としてある
- 「ソロ」は「大失敗」と評する手厳しい声も存在する
- これは香料の品質ではなく「個性的」な香りのキャラクターに起因する
- 調香師ヌリア・クルエリェスは「型破りな」素材を好んで使用する
- 「トリュフ」「レザー」「ハーブ」など挑戦的な香料がその例である
- ブランド哲学は「ありのままの自然」であり、綺麗すぎない香りを表現する
- 「トマトの葉」や「スペインのロックローズ」はその象徴的な香りである
- 「ボタニカルレインボー」は自然の多様性を「虹」のように表現したコレクションである
- 初心者は「001 ウーマン」から始めるのが安全かつ賢明な選択である
- 「001 ウーマン」は「万人受け」する傑作として高い評価を得ている
- 香水マトリックスを活用すれば、自分のレベルに合った香りが見つかる
- ロエベは「共生」という名の「重ね付け」を公式に推奨している
- 香りが強すぎる場合は、足首など下半身に1プッシュで調整可能である
- 「くさい」と感じる香りは、あなたの固定観念を壊す「アート」そのものである










