ディプティックの「ドソン」を検索して、「ドソン 臭い」という不穏なキーワードにたどり着いたあなた。憧れの香水がなぜ「臭い」と評されるのか、不安や疑問でいっぱいかもしれません。しかし、ご安心ください。その「臭い」と感じる感覚こそが、ドソンが持つ唯一無二の芸術性の証なのです。この記事では、なぜドソンが「臭い」と感じるのか、その3つの理由を専門家が徹底分析。さらに、その香りに込められた美しい物語、EDTとEDPの違い、そして「臭い」を「最高に好きな香り」に変える上手な纏い方まで、あなたの疑問をすべて解消します。
- 「ドソン 臭い」の理由を主香料テュベルーズから解明
- 創設者の記憶に基づくドソンの物語と背景
- EDTとEDPの香りの違いと選び方
- 「臭い」と感じさせない専門家が教える纏い方
「ディプティック ドソン 臭い」と言われる3つの理由
- 理由1:主役「テュベルーズ」の動物的な香り
- 理由2:リアルな生花感の「グリーン」な側面
- 理由3:口コミ分析:好き嫌いが分かれる分岐点
理由1:主役「テュベルーズ」の動物的な香り

「ディプティック ドソン」を「臭い」と感じる最大の理由、それはこの香水の主役である「テュベルーズ(月下香)」という花の香りが持つ、非常に挑戦的で複雑な側面にあります。
テュベルーズは、ジャスミンやガーデニアと並ぶ「ホワイトフローラル」の代表格ですが、その香りは「魔性」「官能的」と評されるほど、強烈な個性を持っています。その個性の一つが、「インドール」という成分に由来する、わずかな「動物的(アニマリック)」な匂いです。
「インドール」は、それ単体では非常に不快な(まさに「臭い」)香りを放ちますが、フローラルな香りとごく微量に混ざり合うことで、香りに「生きた人間」のような温かみ、官能的な奥行き、そして驚くほどの「リアルさ」を与えます。ドソンは、このテュベルーズが持つ「インドール」の側面を、あえて隠すことなく、その官能性の一部として取り入れています。
特に、日本の文化では「無臭」や「清潔感」が好まれる傾向があるため、欧米の香水文化で「官能的」と解釈されるこの「動物的な側面」が、一部の人には「臭い」「トイレの芳香剤のよう」といったネガティブな印象として受け取られてしまうのです。
フレグランスマイスターの視点
ドソンが「臭い」と感じるなら、それはあなたの嗅覚が「本物」の香料を嗅ぎ分けている証拠です。多くの人に愛される「万人受け」する香水は、こうした「クセ」のある部分を削ぎ落として作られます。しかし、ドソンは違います。あえて「生身」のテュベルーズを表現しているのです。このアニマリックな側面こそが、ドソンを単なる「きれいな花の香り」ではなく、記憶に残る「芸術的な香り」に高めているのです。
理由2:リアルな生花感の「グリーン」な側面

ドソンが「臭い」と感じる第二の理由は、その「リアルな生花感」にあります。ドソンは多くの人に「生花そのもののよう」と評されますが、それは「切り花」として花瓶に挿された美しい部分だけを指しているのではありません。根から茎、葉、そして花まで、その植物全体を丸ごと写し取ったようなリアリズムがドソンの特徴です。
テュベルーズという花は、その自然な香りのプロファイルに「クリーミーな甘さ」だけでなく、「青々とした(グリーン)」側面や、わずかに「カンファー(樟脳)のようなツンとした刺激」を持っています。それはまるで、青々とした茎をハサミで切った時のような、生々しい植物の香りです。
ドソンの調香師であるファブリス・ペルグランは、この香りを創るにあたり、テュベルーズの「グリーン、アクアティック(水的)、フローラル、クリーミー、サニー(太陽の光)」という全ての側面を表現しようと試みました。その結果、香りの立ち上がり(トップノート)で、この「グリーン」な側面を強く感じる人がいるのです。
香道Lab.しかし、このグリーンな側面こそが、ドソンを単なる甘い香りに終わらせず、洗練された「生きた花」の香りに昇華させている重要な要素なのです。
理由3:口コミ分析:好き嫌いが分かれる分岐点


ドソンに関する評価は、まさに「好き嫌いが分かれそう」という言葉に集約されます。これは、私たちがここまで分析してきたテュベルーズの「動物的な側面」と「グリーンな側面」という、非常に個性的で挑戦的なノートを隠さずに表現しているためです。
実際の口コミを見てみると、その両極端な反応がよくわかります。
ネガティブな意見
「なんか『臭い』と感じて、吐き気がした」
「スイカのような匂いと車酔いのような匂いがする」
「個人的には好きな香りではなかった」
ポジティブな意見
「なんとも言えない、とても良い香り」
「上品なお花の香り」
「独特のまったりしたクリーミーな香りがクセになる」
ここで注目すべきは、あるユーザーの「最初は『臭い』と感じて気持ち悪くなったが、最終的には5点満点をつけ『好きな香り』と評価している」という、一見矛盾した体験談です。
これは、ドソンという香水の本質を完璧に捉えています。ドソンは、一瞬で万人に「良い香り」と理解される、いわゆる「いい匂い」ではありません。それは、最初は拒絶反応を示してしまったとしても、時間をかけてその複雑さや物語性を理解するうちに、いつの間にか深く魅了されてしまう「芸術作品」に近い存在なのです。
ドソンの体験ジャーニー
- 第一印象(拒絶):「なんだか臭い」「青臭い」「車酔いしそう」
- 再評価(理解):「あれ? でも、なんだかクセになるかも」
- 最終評価(魅了):「こんなに上品で奥深い香りだったなんて」「もうこれ以外使えない」
あなたが今「臭い」と感じているなら、それはこのジャーニーの第一歩に過ぎないのかもしれません。
「臭い」は誤解?ドソンに込められた物語と選び方
- 創設者の記憶:ベトナム・ハロン湾の情景
- EDTとEDPの違い:海風のトワレか、夕暮れのパルファンか
- ドソンと似ている香り:GUCCIブルーム、カーナルフラワーとの比較
- フレグランスマイスターが教える「ドソン」の纏い方
では、なぜディプティックは、これほどまでに「好き嫌いが分かれる」香りをあえて創り出したのでしょうか。その答えは、調香師の計算ではなく、創設者の一人の、あまりにもパーソナルな「記憶」にあります。ドソンが「臭い」と感じるのは、それが「作られた香り」ではなく、ある情景を「ありのままに写し取った」香りだからかもしれません。その美しい物語を知れば、あなたの「臭い」という感覚は、きっと「懐かしい」あるいは「愛おしい」という感覚に変わるはずです。
創設者の記憶:ベトナム・ハロン湾の情景


ドソンの香りは、ディプティックの3人の創設者の一人、イヴ・クエロン氏の幼少期の記憶そのものです。彼は、フランス領インドシナ(現在のベトナム)で育ちました。
彼の父親は、ハイフォン港の蒸し暑い熱気から逃れるため、ハロン湾に面した海辺の町「ドソン(Do Son)」に、小さなパゴダ(塔)を建てました。イヴ・クエロンは、幼い頃の夏をそこで過ごしたのです。
そこは、涼しい海のそよ風が吹き抜ける場所でした。そして、その風に乗って、彼の母親がこよなく愛した「テュベルーズ」(ベトナム語でcây hoa huê)の、甘くスパイシーで、うっとりするような香りが運ばれてきました。
ドソンという香水は、この「海風(マリンアコード)」と「テュベルーズの香り」が混じり合った、イヴ・クエロン氏の個人的な「記憶の情景」を、調香師ファブリス・ペルグランが忠実に再現したものなのです。
「臭い」と感じた香りの正体
私たちが「動物的」あるいは「グリーン」と感じた「臭い」の正体は、この美しい情景の一部でした。
- 動物的な香り = 母親が愛した、湿気を含んで「むせ返るほど」濃厚に香るテュベルーズそのもの。
- グリーンな香り = パゴダの周りに生い茂る、青々とした植物の生命力。
- みずみずしさ = それらすべてを運び、和らげるハロン湾の「海風」。
ドソンは「香水」である前に、一人の人間の「大切な記憶の断片」なのです。
この物語を知ると、ドソンの香りはもはや「臭い」ではなく、遠いベトナムの海辺に立つパゴダ、そこに吹く風、そして家族の思い出という、非常に詩的でパーソナルなものに感じられないでしょうか。
EDTとEDPの違い:海風のトワレか、夕暮れのパルファンか


あなたが「ドソンが臭い」と感じたとして、それがオードトワレ(EDT)だったか、オードパルファン(EDP)だったか、覚えていますか? もしEDPで苦手意識を持ったなら、ぜひEDTを試してみてください。逆もまた然りです。
ディプティックの香水は、EDTとEDPで単に濃度が違うだけでなく、香りの解釈(ストーリー)そのものが異なることが多々あります。これは非常に重要なポイントです。ドソンも例外ではありません。
オードトワレ (EDT)
公式の解釈は「ハロン湾の海風にのる、みずみずしいテュベルーズ」。イヴ・クエロンの記憶である「海風とテュベルーズ」を最も忠実に、そして爽やかに表現しています。香りはよりフレッシュで、エアリー。テュベルーズの「動物的」な側面や「グリーン」な側面が、マリンアコードによって和らげられ、透明感があります。「ドソンは重い、臭い」と感じる方に、まず試していただきたいのがこちらです。
オードパルファン (EDP)
公式の解釈は「夕暮れのパゴダで香る、濃厚でウッディなテュベルーズ」。夜になると香りを強めるテュベルーズの花のように、より官能的で、クリーミーな側面が強調されています。EDTにある「マリンアコード」の代わりに、ラストノートに「アンバーウッド」が加えられ、香りに深みと暖かさ、そして持続性を与えています。レビューでも「EDPの方がよりアニマリック」と評されることがあり、テュベルーズの「魔性」の側面をより強く感じられます。
この違いを、以下の表にまとめます。
| 項目 | オードトワレ (EDT) | オードパルファン (EDP) |
|---|---|---|
| 香りの解釈 | ハロン湾の海風にのる、みずみずしいテュベルーズ(昼) | 夕暮れのパゴダで香る、濃厚でウッディなテュベルーズ(夕暮れ) |
| キーノート | テュベルーズ、オレンジフラワー、ジャスミン、マリンアコード | テュベルーズ、ジャスミン、オレンジブロッサム、アンバーウッド |
| 香りの印象 | フレッシュ、エアリー、みずみずしい、グリーン | 濃厚、クリーミー、センシュアル、ややアニマリック |
| こんな人におすすめ | ドソンが初めての方、日中使い、重い香りが苦手な方 | 香りの深さと持続性を求める方、ドソンの官能性を楽しみたい方 |
ドソンと似ている香り:GUCCIブルーム、カーナルフラワーとの比較


ドソンの立ち位置をより明確にするために、テュベルーズを主役にした他の有名な香水と比較してみましょう。ここでは、同じく人気の「GUCCI ブルーム」と、テュベルーズ香水の最高峰と名高い「フレデリック マル カーナル フラワー」を選びました。
vs. GUCCI ブルーム (Gucci Bloom)
「ドソンと90%似ている」という人もいるほど、近い系統の香りです。しかし、ブルームはドソンが持つ「動物的なクセ」や「生々しいグリーンな側面」を抑え、より「ソープリー(石鹸のよう)」で「ストレート」なホワイトフローラルに仕上げています。万人に愛されやすい、非常に「良い香り」です。ドソンの「洗練されたフレンチタッチ」[17]や「物語性」よりも、日常的な使いやすさを求めるならブルームが最適かもしれません。
vs. フレデリック マル カーナル フラワー (Frédéric Malle Carnal Flower)
テュベルーズの「魔性」と「リアル」を極限まで追求した、上級者向けの香りです。ドソンが「青臭い」と感じるなら、カーナル フラワーは「もはやメンソレータム」と感じるかもしれません。その「カンファー(樟脳)」と「ビターグリーン」の強烈なトップノートは、「VapoRub(ヴァポラブ)」「歯磨き粉」とまで評されます。しかし、その奥にある濃厚なクリーミーさと官能性は比類がなく、「肉感的な花」という名の通り、多くの香水愛好家を虜にしています。ドソンが「疲れ果ててしまう」ほど重く感じる人もいる、まさに「ラスボス」的なテュベルーズです。
ドソンの立ち位置
ドソンは、この2つの中間、まさに「黄金のバランス」に位置します。ブルームほど「単純」ではなく、カーナル フラワーほど「難解」ではない。テュベルーズのリアルな側面(グリーンさ、動物的な側面)をしっかりと持ちながらも、ハロン湾の「海風」という透明感(アクアティックな側面)によって、奇跡的な「洗練」と「纏いやすさ」を両立させているのです。
| 項目 | ディプティック ドソン | GUCCI ブルーム | フレデリック マル カーナル フラワー |
|---|---|---|---|
| 香りの主軸 | 洗練されたリアルなテュベルーズ | ストレートなホワイトフローラル | 写実的で挑戦的なテュベルーズ |
| クリーミーさ | ★★★★☆ (グリーン・クリーミー) | ★★★☆☆ (ソープリー・クリーミー) | ★★★★★ (濃厚・クリーミー) |
| グリーン/カンファー | ★★☆☆☆ (フレッシュなグリーン) | ★☆☆☆☆ (ほぼ無し) | ★★★★★ (VapoRub / ミント) |
| アニマリック(動物的) | ★★★☆☆ | ★☆☆☆☆ | ★★★★☆ |
| 纏いやすさ | 高い (EDT) | 非常に高い(デイリー) | 低い(上級者向け・挑戦的) |
フレグランスマイスターが教える「ドソン」の纏い方


あなたが「ドソンは臭い」と感じてしまった最大の理由は、その「香り方」にあるかもしれません。テュベルーズは「パワーハウス(強力)」な香料であり、その「アニマリック」な側面は、鼻との距離が近すぎると「臭い」という感覚を脳に直撃させます。特に「吐き気」「車酔い」を感じた方は、無意識にこの「香りの過飽和」状態に陥っていた可能性が高いです。
ドソンの幻想は「海辺を渡る風に乗ってきた花の香り」です。手首にスプレーして鼻を近づけて嗅ぐ、という行為は、その幻想を台無しにする最も「不適切な」楽しみ方なのです。
ドソンの美しさを100%引き出す、専門家としての「纏い方」をお教えします。
注意点:「手首で嗅ぐ」の厳禁
香水テスターで手首にスプレーし、すぐに鼻を近づけてはいけません。アルコールが飛ぶ前の刺激と、高濃度のインドールやカンファーが直撃し、あなたの脳は「臭い!」「危険!」と判断してしまいます。これが「吐き気」の正体です。
マイスターズ・ティップス
- まずはEDT(トワレ)から試す
これは鉄則です。「臭い」というネガティブな記憶がある方ほど、まずはEDTから試してください。EDTの持つ「マリンアコード」の透明感が、あなたの「ドソン」への見方を180度変えてくれるはずです。 - 顔から遠い場所につける(最重要)
「吐き気」や「車酔い」を防ぐ最も効果的な方法です。香りは下から上へ立ち上る性質があります。ウエスト、ひざ裏、あるいは足首に1プッシュしてください。自分の鼻から最も遠い場所で香らせることで、香りが体温で温められて柔らかく立ち上り、まさに「風に乗って香ってきた」かのような、ドソン本来の美しいシラージュ(残り香)だけを感じることができます。 - 「点」ではなく「空間」に香らせる
肌に直接つけるのがまだ怖い、という方は、空間にスプレーしてその下をくぐる、または洋服(シミにならないよう注意)の裾などに軽く香らせるのも良い方法です。「自分が香る」のではなく「自分の周りの空気に香らせる」という意識が、ドソンをまとう上での鍵となります。 - 季節と湿度を味方につける
ドソンは「夏にこそ咲き誇る」香りです。高温と適度な湿度で、テュベルーズのクリーミーさとグリーンな側面が見事に開花します。ただし、口コミで「梅雨時は重いかも」とあるように、湿度が高すぎると動物的な側面が強く出すぎることも。蒸し暑い真夏日や、逆にカラッと晴れた春の日に、その真価を発揮するでしょう。
総括:「ディプティック ドソン」が「臭い」の先に見せる、本物の記憶の香り
この記事のまとめです。
- 「ディプティック ドソン」が「臭い」と感じる主な原因は、主香料の「テュベルーズ」である
- テュベルーズは「インドール」という成分を含み、それが「動物的(アニマリック)」な側面を生む
- また、「グリーン」や「カンファー(樟脳)」の側面も持ち、それが「青臭い」と感じる原因にもなる
- この「生花感」ゆえに、口コミでは「吐気」「車酔い」と評されることがある
- しかし、この複雑さこそが「クセになる」「上品」という高評価の理由でもある
- ドソンは、創設者イヴ・クエロンの「ベトナムでの幼少期の記憶」を香にしたものである
- 父が建てたハロン湾のパゴダで、母が愛したテュベルーズの香りが「海風」で運ばれてきた情景が元になっている
- オードトワレ(EDT)とオードパルファン(EDP)は、単なる濃度の違いではない
- EDTは「海風にのるフレッシュなテュベルーズ」という解釈である
- EDPは「夕暮れに香る、よりウッディで濃厚なテュベルーズ」という解釈である
- 「臭い」と感じた人は、まず「EDT」から試すべきである
- GUCCIブルームは、ドソンより「シンプル」で「ソープリー」な香りである
- フレデリック マル「カーナル フラワー」は、ドソンより遥かに「グリーン」で「カンファー」が強い上級者向けの香りである
- ドソンは、この2つの中間に位置する「洗練されたバランス」を持つ
- 纏うコツは、足首や腰など「顔から遠い場所」につけ、”風に香らせる”ことである










